2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト熱帯熱マラリア患者の感染防御機構‐自然獲得免疫の役割‐
Project/Area Number |
09J01227
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
谷口 委代 新潟大学, 医歯学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | マラリア / 自然獲得免疫 / 熱帯感染症学 / 免疫学 / 寄生虫学 / 国際研究者交流 / ラオス:ベトナム |
Research Abstract |
マラリア感染防御に密接に関係するγδT細胞およびB細胞のヒト熱帯熱マラリア感染における役割を明らかにするため、ラオス国のマラリア流行地における熱帯熱マラリア原虫(Pf)陽性者および陰性者、対照として非流行地住民検体を用いて解析を行った。 自然獲得免疫およびB細胞記憶が誘導されているマラリア流行地の原虫陽性者において末梢血Vγ9^-γδT細胞が増加しており、その詳細なTCR Repertoireはγ鎖がVγ2、Vγ3、Vγ4あるいはVγ5、δ鎖がVδ1あるいはVδ3であることを明らかにした。またB細胞の増殖や抗体産生細胞への分化に重要なサイトカインであるIL-10が原虫陽性者の血漿中において増加しており、このIL-10とVγ9^-γδT細胞割合との間に正の相関が認められたことからVγ9^-γδT細胞がIL-10の産生に関与していることが考えられた。そこでin vitroにてγδT細胞からのIL-10産生能を確認した結果、Vγ9^-γδT細胞がIL-10を産生することを明らかにした。また原虫陽性者のB細胞とVγ9^-γδT細胞との共培養を行った一部培養上清中よりPf特異抗体が検出された。以上のことからマラリア流行地Pf陽性者において増加しているVγ9^-γδT細胞はIL-10を産生する能力を有し、B細胞の増殖やPf抗体産生細胞への分化誘導に関与する可能性、そして熱帯熱マラリアに対する自然獲得免疫機構において重要な役割を担っている可能性が示唆された。 これらの研究成果は、国内および国際学会にて報告しており、また「Vγ9-γδT cells increased in semi-immuned falciparum malaria patients produce IL-10 and contribute to naturally acquired immunity」のタイトルで投稿予定である。
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Research Products
(6 results)