2009 Fiscal Year Annual Research Report
高精度な金属ナノ構造作製手法を用いた表面増強ラマン散乱機構の解明
Project/Area Number |
09J01261
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横田 幸恵 Hokkaido University, 電子科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 金属ナノ構造 / 表面増強ラマン散乱 / 電磁効果 / ナノギャップ |
Research Abstract |
表面増強ラマン散乱(SERS)の増強機構の一つである電磁効果は、入射光の表面電界強度と散乱光の輻射効率の両方に寄与することが理論的に見積もられている。また、金属ナノ構造同士が数ナノメートルの間隙で近接した場合に高い増強効果を得られることが知られている。しかし、これらの増強効果に関して構造のサイズや形状、構造間距離が大きく影響するために定量的に評価することは困難であった。本研究では、半導体微細加工技術によりガラス基板上に金属ナノ構造を精緻に作製し、クリスタルバイオレット分子を用いて表面増強ラマン散乱の分光特性について詳細に検討を行い、SERSの電磁効果に関する定量的な解析に関する研究を達成した。ブロックのサイズを制御することにより様々なプラズモン共鳴波長を有する金ナノブロック構造体を作製して検討した結果、SERS強度が入射光の表面電界強度と散乱光の輻射効率の両方に影響していること、そしてそれらがプラズモンによる光電場増強効果に密接な関連性があることを実験的に明らかにすることに成功した。さらに、ナノギャップ金ダイマー構造を作製してナノギャップ形成による増強効果について検討を行った。SERS強度からプラズモン共鳴の大きさの違いを規格化する解析方法を用いて、光電場の局在によるナノギャップ効果のみを抽出することに成功した。これらの結果から、単純にナノギャップを形成することがSERS強度を著しく増大させるのではなく、ナノギャップの形成、及びプラズモン共鳴バンドと入射レーザー光およびラマン散乱光の波長との相関が増強機構に大きく影響することを実験的に明らかにすることに成功した。
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Research Products
(6 results)