2010 Fiscal Year Annual Research Report
高精度な金属ナノ構造作製手法を用いた表面増強ラマン散乱機構の解明
Project/Area Number |
09J01261
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横田 幸恵 北海道大学, 電子科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 金属ナノ構造 / 表面増強ラマン散乱 / 電磁効果 / ナノギャップ / チタン/銀コアシェル型ナノ構造 |
Research Abstract |
表面増強ラマン散乱の増強効果の一つである電磁効果は、金属ナノ構造の金属の種類や構造サイズ、形状、構造間距離に大きく影響することが知られている。特に金属の種類において、銀ナノ構造体は可視波長域において誘電率の虚部が小さいことから金などの他の金属ナノ構造に比べて高い光電場増強効果を示すことが知られている。しかし、大気中に放置すると酸化や硫化などが起こり、化学的に不安定であるといった欠点を有する。そこで本研究ではチタン/銀コアシェル型ナノ構造を作製して、大気下での光学特性の経時変化を詳細に検討した。銀ナノ構造の場合は時間とともに共鳴効率の減少が計測されたが、チタン/銀コアシェル型ナノ構造ではプラズモン共鳴スペクトルの減少は見られず、チタンコーティングにより化学的な安定性が向上することを見出した。さらに、これまでに金ナノ構造を用いてナノギャップからのラマンシグナルを取りだすことに実験的に成功していることから、同様に様々なナノギャップを有するチタン/銀コアシェル型ナノ構造を用いて表面増強ラマン散乱計測を行った。計測したクリスタルバイオレット分子の表面増強ラマン散乱スペクトルから、ナノギャップの形成に基づく高い光電場増強効果により表面増強ラマン散乱強度の著しい増大が確認された。また、銀ナノ構造上のチタンコーティングを確認するために、集束イオンビーム装置を用いてチタン/銀コアシェル型ナノ構造を断面の切り出しを行い、構造を透過型電子顕微鏡にて観測を行った。さらにエネルギー分散X線分光法によるマッピングから、銀ナノ構造の上面だけでなく側壁にもチタンがコーティングされていることも確認した。このことから、チタン/銀コアシェル型ナノ構造を作製することにより、より高い光電場増強場を有する構造を構築することに成功した。
|
Research Products
(7 results)