Research Abstract |
1.空間無限遠で減衰しない初期速度場に対するEuler方程式の解の実解析性と概周期性の伝播 非圧縮性完全流体の運動を記述する偏微分方程式であるEuler方程式の解の正則性について考察を行った.特に,Pak-Park(2004)によって構成された解について考察し,Besov空間の枠組みにおいて,空間無限遠で減衰しない初期速度場に対する解の実解析性及び概周期性について考察した結果として,Besov空間に属する初期速度場が実解析的,又は概周期的な場合に,解もそれぞれ実解析的,又は概周期的となることを証明した,更に実解析性に関しては,解のTaylor級数の収束半径に対して,現在までに知られている結果を改良した評価式を導出し,解の爆発とTaylor級数の収束半径との関係を,爆発判定法の観点から特徴付けることに成功した.以上の研究結果は既に論文としてまとめられ,国際雑誌Journal of Functional Analysis(査読有)に掲載済みである. 2.非圧縮性Navier-Stokes方程式の非粘性極限解 非圧縮性粘性流体の運動を記述する偏微分方程式であるNavier-Stokes方程式について考察した.特に,波数空間におけるNavier-Stokes方程式の力学系モデルとして,非線型相互作用において局所相互作用のみを抽出したシェルモデルについて考察し,動粘性係数を0に近づけた際の解の挙動について,エネルギー散逸や解の正則性の立場から考察を行った.本研究は現在も継続中であり,今後も引き続き考察を行っていく予定である.本研究を通じて,Navier-Stokes方程式の非粘性極限解とEuler方程式の散逸的弱解との関係を,解の正則性や非線型相互作用の観点から特徴付け,「ヘルダー連続性をもつEuler方程式の散逸的弱解の存在」といったOnsager予想の一部である未解決問題に対してもアプローチしていきたいと考えている.
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