2011 Fiscal Year Annual Research Report
銀アート錯体を鍵活性種とする有機ケイ素化合物の新規合成法の開発
Project/Area Number |
09J01310
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 慧 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 銅触媒 / アルキニルスルフィド / イナミド / ケテンジチオアセタールモノオキシド |
Research Abstract |
申請者は銀触媒を用いたクロロシランの変換反応の開発を検討している際、銅触媒を用いることで変換反応が円滑に進行することを21年度に報告している。申請者が銅触媒の更なる反応開発を検討している際、銅触媒を用いることでケテンジチオアセタールモノオキシドとアルキニルスルフィドが効率的に反応し、対応するγ,γ-ジスルファニル-β,γ-不飽和チオエステルが得られることを見つけた。この得られた不飽和チオエステルは更なる変換反応により、天然物や生理活性物質にみられる重要な化合物である1,4-ジカルポニル化合物へと変換できる重要な前駆体である。この手法は様々な置換基を有するケテンジチオアセタールモノオキシドとアルキニルスルフィドを用いることができる一般性の高いものである。中でもアリール基の置換したケテンジチオアセタールモノオキシドとアリールエチニルスルフィドの反応によって得られたα位とβ位にそれぞれ異なるアリール基を有するかさ高い生成物を得る事ができた。なお本反応は 5mmolといった中程度のスケールにおいても高い再現性で生成物を与えることが明らかとなった。 また得られたγ,γ-ジスルファニル-β,γ-不飽和チオエステルは段階的な変換反応を行うことにより、目的とする2,3-二置換-1,4-ジケトン類を高い収率で導くことができた。また、得られた1,4-ジケトンをPaal-Knoll反応の反応条件にふすことで対応する多置換ヘテロ芳香環を得る事ができた。得られたヘテロ芳香環は青から水色の蛍光を示した。さらに本反応の反応機構をDFT計算によって検討し、反応が協奏的ではなく、段階的に進行することを明らかにした。 上で示した反応をさらに拡張すべく検討をしたところ、アルキニルスルフィドの代わりにイナミドを用いた場合には、触媒となる銅塩を加えることなく円滑に反応が進行することを見つけた。本反応では対応するγ,γ-ジスルファニル-β,γ-不飽和アミドを得る事ができるものである。対応する生成物はさらに変換を行うことで、非対称1,4-ジカルボニル化合物へと導くことができる有用なものである。
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Research Products
(7 results)