2010 Fiscal Year Annual Research Report
銀アート錯体を鍵活性種とする有機ケイ素化合物の新規合成法の開発
Project/Area Number |
09J01310
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 慧 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Ireland-Claisen / rearrangement / Diels-Alder reaction / Stille coupling reaction / organotin reagent |
Research Abstract |
申請者は、銀アート錯体を用いる有機ケイ素化合物の合成を目的として研究を行っていた。本年度は、ケイ素上に不斉点を有する不斉有機ケイ素化合物の天然物全合成への応用を目的として、カリフォルニア工科大学のStoltz研にて研究を行った。目的化合物はTranstaganolideおよびBasiliolideと呼ばれる天然物である。本化合物は近年、単離および構造決定がなされたものである。SERCA-ATPase阻害の作用があり、またその複雑な骨格から生化学的にも有機化学的にも注目を集めている。申請者の留学先であるStoltz研究室では、すでにIreland-Claisen転位を鍵反応とするTranstaganolideの前駆体の合成を達成していた。申請者は不斉有機ケイ素化合物を用いることで、Ireland-Claisen転位をエナンチオ選択的に行えるのではないかと考えた。しかしながら、TranstaganolideおよびBasiliolide類の全合成はまだ達成されていなかった。そこでまずはじめにこれらの化合物の全合成を行った。種々の検討の結果、既知化合物であるハロゲン化物に対してStille反応を行い、つづく環化反応を行うことで一挙に天然物を合成することが出来た。また申請者は、有機亜鉛反応剤を用いるアレンへのアリール亜鉛化反応を見いだした。本反応は、様々なアリル亜鉛を合成できる。この反応を応用することで、合成の難しいskipped polyeneを立体選択的に合成することが出来た。さらに有機亜鉛反応剤を用いてジハロゲン化アルキルに対するクロスカップリング反応を見いだした。本反応は、ベンジルおよびアリル基を段階的に導入できる優れた骨格構築法である。
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Research Products
(5 results)