2010 Fiscal Year Annual Research Report
菌体成分、特にNOD1ならびにNOD2リガンドの鎮痛作用
Project/Area Number |
09J01314
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 匡 東北大学, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 菌体成分 / 鎮痛作用 |
Research Abstract |
運動失調症では、筋肉や神経の機能不全により運動障害が生じることが知られている。この疾患では、しばしば筋や関節に疼痛が生じ、この疼痛がさらに随意的な運動を困難にしている。たとえば筋変性モデルマウスにおいては、脊髄の後角において2次ニューロンにおける痛みのマーカーであるc-Fosの発現が増加しており、筋肉の変性とともに疼痛を生じさせる原因になると考えられる、したがって、運動失調症の治療においては、筋肉の機能を回復させるだけでなく、疼痛をいかに軽減するかが非常に重要であると考えられている。 自然免疫は、Toll-like receptor (TLR)やNOD-like receptor (NLR)が微生物に特徴的な構造を認識することにより発動する。1960~80年代に内毒素性リポ多糖(LPS)やペプチドグリカンの要構造にあたるムラミルジペプチド(MDP)の鎮痛作用が報告されている。昨年度までの研究において、各種菌体成分をマウスに投与すると鎮痛作用を示すことを明らかにした。 本年度は、筋変性モデルマウスにおいて、1次知覚ニューロンにおける痛みのマーカーであるcalcitonin gene-related peptide (CGRP)の発現量をさまざまな筋肉で分析したが、痛みを伝達すると考えられる自由神経終末ではCGRPの発現に変化は認められなかった。しかし、運動ニューロンの神経終末において有意の上昇がみられた。すなわち、筋変性モデルマウスの一次知覚ニューロンにおいては、疼痛閾値の減少を示唆する組織学的な証拠は得られなかった。 今後、本研究における菌体成分投与による筋変性モデルマウスの脊髄におけるc-Fosの分布を調べ、運動失調症における鎮痛効果を明らかにする予定である。
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Research Products
(2 results)