2009 Fiscal Year Annual Research Report
ディオファンタス近似、特に線型回帰数列の小数部分について
Project/Area Number |
09J01325
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 元 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 一様分布論 / 等比数列 / 代数的数 / 正規数 / 有理近似 / 超越数 / 代数的独立 |
Research Abstract |
等比数列の小数部分の大きさがどのような挙動を示すかについて研究した。等比数列は公比と初項が決まれば一意的に定まるが、今年度の研究では公比が代数的数である場合を扱った。特に、初項も代数的数である場合、よく知られた例外を除いてその等比数列の小数部分は一様に分布すると予想されている。ところが、具体的に与えられた等比数列の小数部分が一様に分布するかどうかを判定する方法は一般には知られていない。代数的数を公比にもつ等比数列の小数部分を解析し、その代数的数の数論的性質を詳しく知ることにより整数論への応用が期待できる。一様分布列を得ることは、擬似乱数や数値計算におけるモンテカルロ法などに関連があり、応用上も重要である。代数的数を公比にもつ等比数列の小数部分が具体的に与えられた値をどのような頻度で取りうるかを研究することが、等比数列の小数部分の一様分布性を示唆する。BugeaudとEvertseは特に公比が整数の場合を先行結果として扱った。今年度の研究では彼らの先行結果を一般の代数的数を公比にもつ等比数列に拡張することができた。また、代数的数を公比にもつ等比数列の小数部分をべき級数を用いて表示することに成功したため、今後小数部分に関するさらなる解析が期待できる。さらに、公比が2である場合、SSB expansionsという数系を用いることにより先行結果の評価式を指数的に改良することに成功した。また、等比数列の一様分布論の超越数論への応用として、べき級数の特殊値の代数的独立性の判定法を構成した。その結果、Mahlerの方法など従来の判定法では代数的独立性が示せなかった数の代数的独立性を証明することができた。
|