2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01326
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒川 貴弘 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脊髄小脳路 / 脊髄上行路 / 軸索ガイダンス / 軸索伸長 / ニワトリ / 脊髄 / 電気穿孔法 |
Research Abstract |
体内外の情報を上位中枢へ伝達する経路として重要な役割を果たしている脊髄上行性伝導路の形成機構を明らかにするため、ニワトリ胚をモデル系として解析をおこなった。21年度は、脊髄上行性伝導路形成の全体像を把握するため、これまで明らかにしてきた仙腰部LS2に加え、胸部T4、上腕部C14、および頸部C7の各体節より上行する伝導路について、それぞれの体節選択的に標識用の耐熱性アルカリフォスファターゼ遺伝子の導入を行うことで可視化し、その軸索伸長過程を解析した。その結果、それぞれの体節から上行する軸索群のとる経路は、仙腰部LS2を発する軸索群に見られたものとほぼ同様であり、対側から背側・腹側を通る経路に大きく2分された後上行するものと、同側から背側の経路をとって上行するものに大別された。しかしながら、小脳へと向かう軸索群は、起始核が吻側に向かうにつれて減少し、それぞれ異なる投射パターンを示した。また、頸部C7および上腕部C14より伸びる上行性伝導路の軸索群は、伸長開始順に上行し、それぞれ別々のタイミングで延髄へと進入していたが、胸部T4より伸びる上行性伝導路の軸索群は、仙腰部LS2を発する軸索群よりも早く軸索の伸長を始めているにもかかわらず、上腕部付近を上行する間にLS2より上行する軸索群に追いつかれ、その後は同じタイミングで延髄へと進入することが明らかとなった。このようなことから、脊髄には、単に神経同士を繋ぐ通路としての役割だけではなく、発生段階において神経群の位置に即しその走行を制御する機能をも有しているものと推測された。さらに、こうした軸索伸長制御の分子機構を探るため、To12およびCreERシステムを組み合わせることによる、任意のタイミングでの高効率な時空間選択的な遺伝子発現調節系の構築を試み、その動作を確認した。系の最適化を進め、上行路形成の分子機構を解析していく予定である。
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Research Products
(1 results)