2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01326
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒川 貴弘 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脊髄小脳路 / 脊髄上行路 / 軸索ガイダンス / 軸索伸長 / ニワトリ / 脊髄 / 電気穿孔法 |
Research Abstract |
脊髄上行性伝導路は、体内外の情報を上位中枢へ伝達する重要な経路であるが、その形成過程はほとんど明らかになっていない。私は、発生中の脊髄にアクセスが容易なニワトリ胚を用いて、単体節程度に限局して遺伝子導入が行えるように改良した電気穿孔法と、ヒト胎盤型耐熱性アルカリフォスファターゼ(PLAP)を用いた高感度軸索標識法を用いて、脊髄上行性伝導路形成過程の解析を進めている。これまでに、頸部C7・上腕部C14・胸部T4・仙腰部LS2を発する脊髄上行路の形成過程の記述を行い、その全体像と概要を明らかにした。また、各部位から伸長する軸索群の伸長速度を解析し、軸索伸長が体幹前半部と後半部において異なった制御を受けている可能性を示した。今年度は、これら上行路のうち、小脳に投射する脊髄小脳路を構成する神経群の小脳への投射過程について解析を進めた。これまでの手法では、小脳進入後あたりよりPLAPによる軸索の染色性が減弱するため、Tol2トランスポゾンにより染色体へPLAP遺伝子を組み込ませて、恒常的な発現を持続させることにより、投射領域のより確実な同定を期すこととした。これにより、脊髄上腕部C14から伸長する軸索群は主に第III葉、胸部T4では第III、第IV葉、仙腰部LS2は主に第II、第III、第VIII葉を中心とした部位に投射することが確認されたが、頸部C7は小脳への投射がほぼ認められず、遺伝子導入をおこなった時期に誕生する神経群からは、脊髄小脳路を構成する神経は産生されていないことが示唆された。さらに、連続切片の作製と再構成により、対側(前脊髄小脳路)・同側(後脊髄小脳路)より進入する軸索群の小脳内における伸長経路を明らかにした。
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Research Products
(1 results)