2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症の聴覚情報処理過程における弱い中枢性統合の影響に関する検討
Project/Area Number |
09J01365
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡辺 隼人 北海道大学, 大学院・教育学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 持続時間ミスマッチ陰性反応 / 脳磁図 / 自閉症 / 弱い中枢性統合 |
Research Abstract |
本年度は,自閉症の聴覚情報処理過程における弱い中枢性統合の影響,すなわち,聴覚情報の全体的側面の処理(統合)が困難であることが,部分要素の処理を亢進させるかどうかについて検討するため,聴覚入力における重要な部分要素のひとつである持続時間(音の長さ)の処理についての研究を実施した. 指標として用いた,変化検出感度に対応して出現するミスマッチ陰性反応には,測定上の問題が存在することが知られており,この問題を解消するための方法を開発した. 具体的には,通常ミスマッチ陰性反応は,単一シークエンス内の低頻度刺激に対する脳活動から,高頻度刺激に対する脳活動を差し引くことによって得られるが,別のシークエンスで低頻度刺激と同一頻度で呈示する統制刺激に対する脳活動を測定し,この脳活動を低頻度刺激から差し引くことによってより正確なミスマッチ陰性電位を導出した.これにより,変化検出を除いた個人の脳活動の違いを差し引いたより正確なミスマッチ陰性反応を得られたことを示唆する結果を得た.自閉症を持つヒトは,変化検出以前の非常に早い聴覚情報処理過程の段階で既に健常者と異なる脳活動を示すことが知られており,この方法を用いることで変化検出過程における異常のみを抽出できることが期待できる.
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