2009 Fiscal Year Annual Research Report
大自由度力学系における繰り込み群の方法の構築と結合振動子系への応用
Project/Area Number |
09J01374
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千葉 逸人 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 繰り込み群の方法 / 特異摂動法 / 蔵本モデル / 力学系理論 |
Research Abstract |
本研究においては微分方程式の特異摂動問題における繰り込み群の方法の数学的定式化を与え,その基礎付けに成功した.より具体的には,繰り込み群の方法により,与えられたベクトル場の近似ベクトル場が構成可能であることを示し,これを用いて,繰り込み群の方法が,単に与えられた微分方程式の近似解を与えるばかりでなく,双曲型不変多様体の存在とその安定性までも記述することを示した.さらに,繰り込み群の方法は,多重尺度法,平均化法,中心多様体縮約といった,古くから知られていた様々な特異摂動法を統一的に扱う手法であることも示した.特異摂動法は微分方程式を解析する基本的な手段であるから,このようにその基礎付けを与えたことは極めて重要であり,多くの応用が期待される.これらの結果は論文"Extension and Unification of Singular Perturbation Methods for ODEs Based on the Renormalization Group Method"として査読付き雑誌に掲載された.また本研究の結果に関して2009年5月にはワシントン州立大学に招待され,講演を行った他,ユタ州で行われた国際会議"SIAM Conference on Applications of Dynamical System,"でも講演を行った(項目11を参照のこと). 研究代表者は,繰り込み群の方法を結合振動子系の蔵本モデルに応用し,その不変トーラスの安定性や分岐構造に関する結果を得た.蔵本モデルは同期現象を記述するための最も標準的なモデルの1つであり,その応用の幅は極めて広いため,その分岐構造を明らかにすることには大きな意義がある.この結果は論文"Stability of an[N/2]-dimensional invariant torus in the Kuramoto model at small coupling"として査読付き雑誌に掲載された(項目11を参照のこと).
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Research Products
(4 results)