2009 Fiscal Year Annual Research Report
疾患関連TRIMファミリーユビキチンリガーゼ群の網羅的解析
Project/Area Number |
09J01445
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡部 昌 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ユビキチンリガーゼ / 足場非依存性増殖 / 消化管 / TRIM31 / ユビキチン / Src / 胃癌 / 癌化 |
Research Abstract |
マウスTRIMファミリー遺伝子のうち、TRIM2,9,16,31,35,37,44,およびTRIM69 cDNAをクローニングし、哺乳類発現ベクター、大腸菌発現ベクター、バキュロウイルス発現ベクター、酵母発現ベクター、およびレトロウイルス発現ベクター系に導入した。このうち、TRIM31は、正常胃腺上皮に比べ、胃腺癌において高発現していることが知られており腫瘍形成への関与が示唆されていたため、下記の各種実験を行った。まずリコンビナントタンパク質の作製し、ユビキチンリガーゼE3活性の検討を行った結果、TRIM31は自己を基質としてユビキチンリガーゼ活性を持つことを示した。またウサギ抗TRIM31抗体を作製してマウスの各組織におけるTRIM31発現を検討したところ、TRIM31は消化管組織、特に小腸において高い発現を示していることを明らかとした。さらに酵母ツーハイブリッド法によりTRIM31結合分子を網羅的に検索したところ、新規結合分子としてShc1を同定した。Shc1はがん遺伝子Srcの活性を上昇させる因子として報告されていたため、NIH-3T3細胞を用いてSrcおよびTRIM31を共発現させて足場依存性・非依存性増殖能を検討したところ、TRIM31は足場依存性増殖には影響を与えないものの、Srcによる足場非依存性増殖能を阻害する活性を持つことが明らかとなった。In vivoユビキチンアッセイおよびパルスチェイスアッセイにより、TRIM31はShc1を基質としてユビキチン化および分解を促進することはないことが明らかとなったため、他のメカニズムによってTRIM31はShc1のSrc活性上昇能を阻害することで、Srcの足場非依存性増殖能を阻害しているものと推測された。以上より、本研究によりTRIM31は腫瘍形成促進ではなく抑制へ関与している可能性が明らかとなった。
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