2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロクロマチンと転写装置とを結ぶ分子リンクとその意義の解明
Project/Area Number |
09J01447
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野澤 竜介 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘテロクロマチン / プロテオミクス解析 / Aurora Bキナーゼ / 染色体分配 / HP1 / RNAポリメラーゼII |
Research Abstract |
これまでに、プロテオミクスを用いて、HP1相互作用タンパク質を80種類以上同定した。同定した多くのHP1結合タンパク質は、疎水性のアミノ酸がならんだPxVxL配列モチーフを介して、HP1と相互作用する。しかし、新規HP1結合因子であるPOGZ(交付申請書にはSUHWと記載した)は、既知の結合様式とは異なりZnフィンガー様モチーフを介してHP1と結合することがわかった。本年度の研究から、POGZのZnフィンガー様モチーフはPxVxL配列モチーフと競合してHP1と結合し、またHP1とクロマチンの結合を不安定化することがわかった。RNA干渉法とその相補実験から、POGZのZnフィンガー様モチーフを介したHP1との結合は、正常なM期の進行や、HP1のM期染色体腕部からの解離に必要であった。さらにPOGZは、Aurora BキナーゼのM期染色体腕部からの解離と活性化に必要であることがわかった。Aurora Bを含む複合体はHP1と直接結合することから、POGZはZnフィンガー様モチーフによりHP1に働きかけ、Aurora Bの局在や活性化を制御していると考えられる。現在、これまでの結果を論文にまとめて投稿中である。 またPOGZは、POGZBP2(POGZ-binding protein 2)を介してRNAポリメラーゼII(polII)と結合しうることをこれまでに明らかにしている。本年度の研究では、POGZBP2のプロテオミクス解析から、polIIだけでなくpolIIとの結合に必要なモチーフを持つタンパク質をPOGZBP2の他に2種類同定した。このことから、POGZはこれらのタンパク質を介してある転写状態のpolIIと結合し、機能性RNAの転写制御に関与していることが予想された。
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[Journal Article]2009
Author(s)
野澤竜介
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Journal Title
細胞核-遺伝情報制御と疾患染色体・核輸送のダイナミクスと細胞分化から個体発生,破綻による疾患まで(羊土社)
Pages: 123-130
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