2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロクロマチンと転写装置とを結ぶ分子リンクとその意義の解明
Project/Area Number |
09J01447
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野澤 竜介 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘテロクロマチン / プロテオミクス解析 / Aurora Bキナーゼ / 染色体分配 / HP1 / X染色体 / ChIP-seq |
Research Abstract |
本年度は、酵母ツーハイブリッド法を用いてクロモソームパッセンジャー複合体(CPC)の構成因子であるINCENPがHP1結合モチーフであるPxVxLモチーフを持つことを示し、さらにHP1と結合できない変異INCENPの免疫染色による観察から、分裂期前期においてINCENPはHP1との結合を介して染色体腕部に局在することが明らかとなった。またAurora Bキナーゼの活性を薬剤により阻害した場合でもHPZ (HP1 binding zinc finger like motif)を強発現させることで、CPCを染色体腕部から解離させられることがわかった。よって、POGZ(申請書にはSUHWと記載した)はHPZによりHP1との結合を介してAurora Bキナーゼの局在と活性を制御すると結論し、これまでの結果を論文としてまとめ、Nature Cell Biology誌に発表した。 また次世代シーケンサーを用いたChIP-seq法の実験系の立ち上げの第一段階として、核内で特異的な局在を示す新規HP1結合タンパク質に着目し、染色体上の分布を調べたところ、X染色体上に濃縮されることが明らかになった。このタンパク質をHBiX1 (HP1 binding protein enriched on X chromosome 1)と名付けた。HBiX1をRNA干渉法により機能阻害をすると、X染色体上のトリメチル化されたヒストンH3の9番目のリジンが減退したことから、HBiX1はHP1を介してX染色体上のヘテロクロマチン領域の機能に寄与しているものと想定された。
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