2009 Fiscal Year Annual Research Report
司馬江漢と馬道良・馬孟煕(北山寒巌)父子の画業について
Project/Area Number |
09J01457
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
深見 寛子 (橋本 寛子) Kobe University, 大学院・人文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 司馬江漢 / 眼鏡絵 / 油彩日本風景図 / 北山寒巌 / ヘイステル / 和蘭新元会図 |
Research Abstract |
本研究は、司馬江漢と馬道良・馬孟煕(北山寒巌)父子の影響関係について考察するものである。しかし、馬道良の作品自体が少なく比較が困難であるため、本年度は司馬江漢と北山寒巌の作品を中心に調査を行った。まず両者の代表作に着目することによりそれぞれの関係性を見出し、2009年12月に神戸大学に博士論文「司馬江漢から北山寒巌へ-江戸時代後期洋風画の研究」として提出した。 まず、江漢独自の表現である大きく湾曲した風景構図について着目し、油彩日本風景図の湾曲した海岸線や、日本最初の銅版画である江漢の天明3年(1783)《三囲景図》の池の表現も同様であることを見出した。その源泉を同時代の絵師らが粉本として頻繁に用いたヨンストン『動物図譜』に見出されることを新たに指摘した。また京都国立博物館にて調査することにより、この表現は上方の絵師や眼鏡絵制作に関係する可能性も指摘したが、明確な結論には至ることができず、これからも調査を継続する予定である。 また、北山寒巌の作品では、代表作である洋風画《ヘイステル像》を中心に江戸時代後期洋風画の中の西洋人肖像画について考察を行った。寒巌の《ヘイステル像》は、寛政6年(1794)に大槻玄沢邸で行われた第一回オランダ正月の様子を描いた市川岳山による《和蘭新元会図》の壁に掛った西洋人像であった可能性を指摘した。また、同時に全国に所蔵されている寒巌が挿絵を担当した寛政元年(1788)刊『新製地球万国図説』の写しの全てを調査した。結果として、未だ寒巌の真筆は発見できなかったが、全国調査をすることにより寒巌の影響力について再認識することができた。この調査は今後も続けていきたいと考えている。 以上から近世洋風画の風景図と西洋人肖像画の画題を概観する研究となったが、その中で江漢は風景図で、寒巌は西洋人肖像画でそれぞれ先駆をなした絵師であったことが判明した。今年度はそれぞれの様式面での関係性について更なる研究を深めていきたい。
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