2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01459
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平井 上総 The University of Tokyo, 史料編纂所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 兵農分離 / 検地 / 日本中世史 / 日本近世史 / 豊臣政権 / 土佐藩 |
Research Abstract |
本研究は、日本の中世と近世を分かつ兵農分離という概念について社会の実態や政策理念などの多角的視野から再検討することによって、中世から近世への移行を捉え直すことを目的としている。 本年度は、土佐藩家臣団の存在形態に関するデータベースを作成することにより、近世前期の兵農分離を実態面・制度面の両面から探ることを目的とした。その遂行のため、まず『山内家史料』『土佐国群書類従』等の基礎史料を収集し、また高知県立図書館・高知大学付属図書館等でも原史料・写本の調査・撮影を行なった。また、研究遂行に必要な研究文献の購入も随時行なっている。現在は本年度収集の史資料からデータを収集する作業を継続中であり、現段階で収集しえたデータからは17世紀土佐藩領内における城下士・郷士・町人が身分を超えて婚姻・交友関係のつながりを持っていたことを明らかにしえた。この作業は次年度にも継続し、逐次公表することとしたい。 なお本年度は、本研究の目的と関わる文献の書評を通して、現段階の兵農分離研究の課題を提示している。また、次年度に行なう計画であった同時代人の太閤検地認識の問題に関しても研究を進めており、豊臣政権下における検地帳登録と作職・身分の関係について従来の通説の理解を修正する解釈を示した。こちらは文章化を済ませているため、次年度中に公表することができるものと思われる。同様に、織田政権期における指出政策についても検討を進めており、今年度は京都府立総合資料館で調査を行なった。こちらは次年度の早期に口頭報告を行なう予定である。
|