2009 Fiscal Year Annual Research Report
面不斉メタロセンの触媒的不斉合成法の開発とその応用
Project/Area Number |
09J01472
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邉 進 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メタロセン / 不斉合成 / 遷移金属触媒 / メタセシス / 面不斉 / 均一系触媒 / 速度論分割 / 不斉非対称化 |
Research Abstract |
面不斉を有するメタロセン類は、軸不斉ビアリール類とならんで不斉合成における重要なキラル・テンプレートである。光学活性面不斉メタロセン錯体は、不斉配位子、不斉カルボメタル化触媒、あるいは不斉ルイス塩基触媒などとして広く応用されており多大な成功をおさめている。このような面不斉メタロセン錯体の重要性にもかかわらず、それらを光学活性体として得るための手段は依然として古典的な手法に限られており、触媒的不斉合成の成功例はほとんど報告されていない。この様な現状をふまえ本研究では、(1)面不斉メタロセン錯体の触媒的不斉合成法の開発、(2)開発した反応により得られる面不斉メタロセン類の応用、の2つを目的とする。初年度の研究では、(1)のについて検討した。 我々は不斉閉環メタセシス反応を利用した速度論分割により、面不斉フェロセンの触媒的不斉合成に成功している。しかし、速度論分割ではそれぞれのエナンチオマーの収率が最大でも50%であるなどの欠点があったため、本年度は新たな面不斉メタロセンの触媒的不斉合成法の開発を行った。具体的には、非対称化を用いるものであり、これにより面不斉ホスファフェロセンが最高99%eeのエナンチオ選択性で得られた。また本手法は基質としてジルコノセンも用いることが可能であり、面不斉ジルコノセンの初の触媒的不斉合成に成功した。
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