2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯山地林をモデルとした土壌微生物群集による森林生態系動態の制御機構の解明
Project/Area Number |
09J01526
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
潮 雅之 京都大学, 生態学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 熱帯山地林 / 森林生態系動態 / 土壌微生物群集 / 縮合タンニン / 土壌酵素活性 / 脂質分析 / 数理モデル / マレーシア |
Research Abstract |
木年度は、(1)熱帯山地林に生育する樹木実生の成長率の評価(2006年からの継続調査)、(2)樹木実生の成長率と土壌栄養塩の可給性の関係の調査、(3微生物群集の多様性が土壌の栄養塩の可給性におよぼす影響の調査、を行なった。 (1)については、ボルネオ島の熱帯山地林に設置している実生調査のためのプロットで、実生約1100個体の樹高を測定し、前年の樹高と比較することで成長率を推定した。(2)については、実生調査用のプロットから土壌を採取し、土壌中の植物に利用可能な形態の窒素、リンを定量した。(3)については、日本学術振興会優秀若手研究者海外派遣事業の助成も受けて、土壌微生物を分析することにおいては世界的にも有名な研究室であるBalser研究室(University of Wisconsir Madison, USA)に赴き、土壌微生物群集の操作実験を行なった。 (1)、(2)の結果から、熱帯山地林内での土壌の栄養塩可給性と実生の成長率の関係が明らかとなり、まとめの解析を行なった。また、(3)によって、微生物群集が多様であることが、土壌の栄養塩可給性にどのような影響を与えるかを明らかにすることができた。一連の研究で、森林生態系における土壌微生物群集、土壌栄養塩可給性、実生の成長の関係理解が大きく進展した。これを共同研究者が持つ成木の成長率データとあわせて解析することで、森林生態系全体の動態を理解することに大きく寄与できるはずである。また、これらの研究により、本年度は著名な国際科学誌に論文を発表することができた。以上より、本研究計画の目的であった、成木-土壌微生物-樹木実生の関係から森林生態系動態を理解するという試みは期待以上の成果を上げたと考える。
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Research Products
(8 results)