2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル触媒によるSP3炭素間結合切断反応を利用した新規有機合成反応の開発
Project/Area Number |
09J01530
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
隅田 有人 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニッケル / レトロアリル化 / ホモアリルアルコール / シクロプロパン / アリルボラン / パラジウム / シリルエノラート / マロン酸エステル |
Research Abstract |
近年、炭素-炭素結合切断反応に焦点を当てた有機合成反応の開発がさかんに行われるようになっている。しかしその多くは比較的結合解離エネルギーの小さいsp^2炭素もしくはsp炭素間を切断するものであり、最も結合解離エネルギーが大きいsp^3炭素-sp^3炭素結合切断反応の例はわずかしかない。 本研究では、ニッケル触媒によるsp^3炭素-sp^3炭素結合切断を伴う新規有機合成反応の開発を目指し、以下の研究成果を得た。 電子求引基を有するビニルシクロプロパン誘導体に対してニッケル触媒存在下ビスピナコラートジボロンを作用させるとビニルシクロプロパンの開環ボリル化が進行し、アリルボランが生成することを見いだした。 この結果を受けて申請者は出発物質をビニルシクロプロパンから、シクロプロピルケトンに代えて反応を行った。その結果、シクロプロピルケトンの開環ボリル化が進行し、対応するγ-ボリルケトンが収率良く得られることを見いだした。 またシクロプロピルケトンとヒドロシランをパラジウム触媒存在下反応させると、開環ヒドロシリル化が起こりシリルエノラートを生成することを見いだした。この時、シリルエノラートは高い位置、立体、および化学選択性で得られた。 さらに遷移金属触媒による歪みの小さいsp^3炭素-sp^3炭素結合の切断は、小員環の環開裂に比べて、その結合の不活性さのため、より困難なものと考えられる。そこでニッケル触媒によるアリール亜鉛反応剤と3-メチレンシクロペンタン-1,1-ジカルボキシラートの反応について検討を行った。その結果、シクロペンタンの開環を伴ってアリール亜鉛と反応し、対応する開環アリール化体が収率よく得られた。
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