2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロンHsp90を標的とした多角的な抗癌剤開発研究
Project/Area Number |
09J01546
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村中 一大 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 助教
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Keywords | heat shock protein 90 / Hsp90 / 抗癌剤 / シクロファン / ring-closing metathesis |
Research Abstract |
本研究は、抗癌剤開発における新たな分子標的として期待される分子シャペロンHsp90を標的として、理論的かつ多角的なHsp90阻害剤開発を目的としている。本年度は新規小分子Hsp90阻害剤として設計した、Hsp90の天然基質ATPと高活性ATP競合型Hsp90阻害天然物であるゲルダナマイシンのキメラ化合物、シクロファン型アデノシン誘導体の合成を行った。アミド窒素上に2,4-dimethoxybenzyl(DMB)基を導入してアミド結合周りの回転を促進させることによって、定量的に閉環メタセシス反応(RCM)が進行することを見出し、ひずみの大きい14員環シクロファン骨格の効率的な合成法を確立した。しかし、DMB基を合成の最終段階で酸処理によって他の保護基と一斉に除去することを計画していたが、長時間の強酸性条件が必要であり、基質が分解してしまうという問題を残した。そこで、DMB基と同様の環化補助効果を有し、弱塩基性条件下で除去可能な新規環化補助保護基として4-(tert-butyldimethylsiloxy)-2-methoxybenzyl基を開発した。本保護補助基を導入した基質のRCMおよび脱保護は効率的に進行し、設計したシクロファン型アデノシン誘導体を高収率で得る合成経路を確立した(3'-0-アリルアデノシンから10工程33-39%)。合成した誘導体のヒト由来乳がん細胞SKBr3に対する殺細胞活性を評価した結果、弱いながらも活性を有することが明らかとなった(IC_<50>=30-100μM)。現在、殺細胞活性の向上を目指し、置換基導入やシクロファン環のサイズの変更等の誘導体合成を検討している。
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Research Products
(5 results)