2009 Fiscal Year Annual Research Report
光合成反応中心における非対称な電子移動の発生機構の解明
Project/Area Number |
09J01578
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅井 智広 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光合成反応中心 / 電子移動 / 緑色硫黄細菌 / Hisタグ / ESR / LC-MS / MS |
Research Abstract |
本研究課題は、緑色硫黄細菌Chlorobaculum tepidumのホモダイマー型光合成反応中心(RC)を任意の部位特異的変異で人工的にヘテロダイマー化し、RCにおける非対称な電子移動反応の原理の解明を日的としている。 本年度は、この研究の中核である「RCコアタンパク質遺伝子の偽二倍体化」によってヘテロダイマー型RCが実際に創出可能であるかの検証を進めた。変異RCコアタンパク質遺伝子のモデルとして、RCコアタンパク質遺伝子(pscA遺伝子)のN末端にHisタグを付加したpscA遺伝子を導入したC.tepidum変異株を作製し、光合成反応中心のアフィニティ精製を試みたところ、高純度且つ高い光活性をもつ標品(Hisタグ付加RC標品)を簡便に得ることに成功した。極低温ESR測定の結果、この標品は電子伝達に必要な成分を全て保持していることがわかった。さらに、Hisタグ付加RC標品のtrypsin限定分解産物のLC-MS/MS解析から、この標品はHisタグ付きPscA(His-PscA)のホモダイマー型と、PscAIHis-PscAのヘテロダイマー型の約4:1の混合物であることがわかった。このことは、ホモダイマー型RCの任意の部位特異的変異の導入により、ヘテロダイマー型RCを人工的に創出可能であることを意味している。 以上の研究成果から、pscA遺伝子の偽二倍体化は非対称性な電子移動反応の原理を解析するための極めて有効なツールであることが確かめられた。また、アフィニティ精製によって緑色硫黄細菌RCの質の良い標品を簡便に得られるようになり、結晶化条件の網羅的な探索が可能となった.
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Research Products
(5 results)