2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01585
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 亮平 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞内小器官 / 小胞体 / GFP / 遺伝学 / ERMO / ゴルジ体 |
Research Abstract |
小胞体は真核生物の細胞内で多様な機能をもっており,その多様性には形態の多様性が関与していることが示唆されているが,小胞体の形態形成・維持における詳細な分子機構は未知の部分が多く残されている.本研究では共焦点レーザー顕微鏡を用いた生細胞における顕微鏡観察と小胞体形態異常変異体(endoplasmic reticulum morphology,ermo)を用いた正遺伝学解析により小胞体の形態に関わる分子機構を解明することを目指す.野生型では観察されないような小胞体由来の球状構造体(Spherical Bodies)を形成するermo1およびermo2変異体はともに小胞体-ゴルジ体間の小胞輸送に関与する遺伝子に変異が同定された.ERMO1はゴルジ体から小胞体へ,REMO2は小胞体からゴルジ体へとタンパク質を輸送する機構に関与していることが知られていた.しかし,同じ小胞体-ゴルジ体間の輸送に異常をもつ変異体で同様の小胞体形態異常を示すものは報告されておらず,また両変異体において全体的な輸送そのものに強い異常は検出できなかった.二重変異体を作製して解析したところ,ERMO1およびERMO2は強い遺伝的相互作用(相乗的相互作用および抑圧的相互作用)を示すことを明らかにした.すなわち,ERMO1,ERMO2は同じ機構を介して小胞体の形態を維持していることが強く示唆された.ERMO1とERMO2の直接の物理的相互作用は現在まで検出できず,また局在も異なっていることから,機能的共通点である小胞体-ゴルジ体間の輸送が直接ないし間接的に小胞体形態に関与していると考えられる.これらの結果より,ERMO1およびERMO2は小胞体-ゴルジ体間の輸送において機能し,何らかの必須因子を輸送することにより小胞体形態を維持していることが示唆された.現在その必須因子の同定にむけた解析を行っている.
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Research Products
(3 results)