2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01585
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 亮平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小胞体 / 細胞内小器官 / 蛍光タンパク質 / 細胞生物学 / 細胞骨格 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
小胞体は真核細胞内において非常に複雑かつダイナミックなネットワーク状構造をとっているオルガネラであり,多種多様な細胞機能に関与している.この特徴的な構造を支える分子機構を明らかにするため,申請者は共焦点レーザー顕微鏡による細胞内微細構造の観察が容易なシロイヌナズナを用いて正遺伝学的解析を行っており,すでにERMO1とERMO2と名付けた因子を報告している.本年度は新たな変異体ermo3に関して解析を行った.ermo3変異体では小胞体ネットワーク上に顆粒状の構造が形成され,さらに細胞中央に巨大な凝集体が観察された.この凝集体にはゴルジ体やエンドソーム,ミトコンドリアなどあらゆるオルガネラが同時に凝集していた.この変異体にアクチン繊維を可視化するADD2-tdTomato遺伝子を導入しアクチンを観察した結果,野生型と同様にネットワーク上の配向を示した.さらに,アクチン重合阻害剤Lat Bによりアクチンを破壊しても凝集体は解消されなかったことから,ermo3変異体でみられる凝集体や顆粒状構造はアクチン繊維の異常に依るものではないことが示唆された.マップベースクローニング及びゲノムシーケンスによりermo3の原因遺伝子を同定した。この遺伝子はGDSLリパーゼ・エステラーゼファミリーに属するタンパク質をコードしており,活性中心を失っていたことから酵素活性を持たないタンパク質と予測された.現在このタンパク質と抗原タグを融合させた植物体を作出し細胞内局在や相互作用因子の同定などの解析を進めている.
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