2009 Fiscal Year Annual Research Report
2次元配列したフォトクロミック分子における単一分子コンダクタンスの光制御
Project/Area Number |
09J01593
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂野 豪 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単一分子コンダクタンス / フォトクロミズム / 走査トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
今年度、本申請者は『2次元配列したフォトクロミック分子における単一分子コンダクタンスの光制御』のテーマに沿い、まず『電導性変化の測定手法の確立』に着手した。 これまでに、単一分子の電導性測定法は走査トンネル顕微鏡(STM)による接合破断を用いた手法が開発されているが、破断時に形成される分子と電極の接合が複数種類存在するため正確な電導性測定が困難とされてきた。そこで、本申請者は、接合形成時のコンフォメーション依存性がないようにするため、非共有結合型の分子-電極接合の系を設計した。具体的には、平滑な炭素基板上にポルフィリンRh錯体をテンプレートとして配列させ、配位分子の電導性をSTM定電流モード測定時の見かけの高さ分布から評価する手法である。この手法では、分子長が同じ2種類の配位分子同士を比較した場合、見かけの高さの差は配位分子の単一分子コンダクタンス比を反映することを利用している。まず、分子長が同じで芳香環同士の二面角に差がある2種類のフェニルピリジン誘導体を配位分子に用いて検討した。2種類の分子を混合した溶液のSTM観察を行い見かけの高さ分布を調べたところ、単一のなだらかなガウス分布が得られ、2つの分布にはならなかった。そこで、2種類のフェニルピリジン誘導体を配列構造の違うポルフィリンRh錯体に配位させて、両者を混合した溶液のSTM観察を行った。 その結果、2種類の配列は異なるドメインとして観察された。各ドメインの見かけの高さ分布を調べると、二面角の大きな分子が配位しているドメインの分布の方が見かけの高さが低いことが明らかとなった。得られた見かけの高さの差から配位分子の単一分子コンダクタンス比を評価すると、両者に25倍の差があることが分かった。この値は、量子化学計算によって計算されたコンダクタンス比とよく一致した。以上によって、まず『電導性変化の測定手法の確立』を達成できた。
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Research Products
(6 results)