2010 Fiscal Year Annual Research Report
2次元配列したフォトクロミック分子における単一分子コンダクタンスの光制御
Project/Area Number |
09J01593
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂野 豪 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィリン / 表面重合 / 走査トンネル顕微鏡 / 分子エレクトロニクス |
Research Abstract |
昨年度、本申請者は『2次元配列したフォトクロミック分子における単一分子コンダクタンスの光制御』のテーマに沿って研究を行っている中で、『電導性変化の測定手法の確立』を達成できた。本年度は、高電導性と期待されるポルフィリン1次元高分子の表面重合を目指して研究を行った。 カラム状の亜鉛ポルフィリンの1次元構造体は、溶液中の会合を利用した手法により作製されており、高いキャリア移動度が知られている。数分子から成るカラム状1次元ポルフィリン会合体を上手く構築できれば、分子エレクトロニクスにおける高いトンネル電導性を示す分子導線になると期待される。これまでに、長鎖アルキルを有するテトラフェニルポルフィリンは、グラファイト基板上でグラファイトとポルフィリン環がスタックしたface-on配列を形成することが報告されている。本申請者は、中心金属に亜鉛を配位したポルフィリンの場合、基板上でface-on配列からポルフィリン環同士がスタックしたedge-on配列に相転移することを、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いた分子の直接観察により見出した。これは、亜鉛の配位に伴うポルフィリン環同士のスタック力の増大に起因していると考えられる。ポルフィリン分子の1次元カラム状の配列形成は、重合サイトの導入により表面重合に応用できると期待される。しかし、観察されたedge-on配列における亜鉛ポルフィリン間距離は0.6nmと長く、表面重合に必要な0.5nm以下の間隔は達成されなかった。そこで、さらにポルフィリン間のスタック力を高めるために、アミド結合を有するポルフィリンを合成し、STM観察を行った。その結果、クロロホルム溶液をグラファイト基板上にキャストした場合、中心配位金属に依らずポルフィリン間距離は0.4nmになり、表面重合が起こりうるedge-on配列構造を構築できた。現在、長鎖アルキルに重合部位となるジイン基を組み込んだアミドポルフィリンを合成し、光照射による表面重合を試みている。
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Research Products
(7 results)