2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01611
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
塩見 大輔 Nagoya University, 多元数理科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 円分関数体 / 合同ゼータ関数 / 行列式公式 |
Research Abstract |
円分関数体は,円分体の関数体における類似物として1930年代にCarlitzによって定義され研究された. その後しばらくは発展がなかったが,1973年にHayesが1変数有理関数体上のアーベル拡大が円分関数体によって統制されるという結果(Kroneker-Weberの定理の類似)を証明したことで,円分関数体の重要性が認識されることになった.円分関数体の類数については,行列式公式や岩澤理論の類似物の構成など多くのことが明になってきているが,類数の一般化である合同ゼータ関数についてはほとんど研究されてこなかった.合同ゼータ関数は数論的コホモロジーやJacobi多様体の群構造と密接に関連した重要な対象であり,筆者は修士以来,円分関数体の合同ゼータ関数の研究を行っている. このような研究背景を踏まえた上で本年度は,次の以下の2つについて研究を行った.(i)合同ゼータ関数のマイナスパートの部分に対する行列式公式の考察.(ii)合同ゼータ関数に付随する多項式のmodulo pでの性質の考察. (i)については,類数の結果をより精密に議論することで,行列式公式を構成することができた.また,応用として合同ゼータ関数に付随する多項式の低次の項に明示公式を与えることができた.(ii)については,ある種の円分関数体の体の系列に対してmodulo pにおける合同関係式を導くことができた.また,Guo-Shuによって既に与えられていた相対類数の可除性の結果について再証明を与えることができた.
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