2011 Fiscal Year Annual Research Report
MM-1と分子シャペロン系がポリグルタミン凝集に与える影響
Project/Area Number |
09J01616
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田代 絵梨佳 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経変性 / シャペロン / Prefoldin / MM-1 / ハンチントン病 |
Research Abstract |
ハンチントン病は線条体や大脳皮質が侵されて進行性の不随意運動、認識力低下、情動障害などの症状が現れる遺伝性の進行性神経変性疾患である。この疾患はHuntingtin(Htt)遺伝子の第一エキソンに含まれるCAG(Glutamine,Q)反復配列の異常伸長によって起こるもので、変異遺伝子の遺伝子産物はポリグルタミン配列を持つことによって非常に凝集しやすくなり神経毒性を示す。Prefoldinはタンパク質のフォールディングを助ける分子シャペロンの1種でactin,tubulinの品質維持を行う複合体として発見された。Prefoldinはヘテロ六量体でクラゲのような構造をしており、リボソームで産生された新規タンパク質を「足」の部分で捕まえて変性しないよう維持する機能がある。実験の結果、細胞においてsiRNAを用いてpreofldinをノックダウンするとマウス神経芽腫細胞Neuro2AにおいてPrefoldinノックダウンは変異Httの凝集を増加させ、さらに細胞死を増加させることが明らかになった。また蛍光相関分光法FCSを用いて細胞lysate中のHtt凝集を一分子的に観察したところ、Prefoldinノックダウン細胞では可溶性のHtt凝集のサイズが大きくなることが示唆された。さらにin vitro実験として全反射蛍光顕微鏡システムTIRFMを用いて一分子的に変異ハンチンチンの凝集を観察したところ、prefoldin非添加条件では大きな凝集が形成されるのに対し、prefoldin添加をすると変異Httの大部分はダイマーからテトラマーまでの小さなオリゴマーにしかならないことがわかった。以上のことから、prefoldinは変異Httの凝集を非常に小さなオリゴマーに留めることで神経細胞死から細胞を保護する機能があると示された。
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Research Products
(2 results)