2010 Fiscal Year Annual Research Report
天然変性蛋白質を用いた新規人工超分子の創製へ向けた基盤的研究
Project/Area Number |
09J01655
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中木戸 誠 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 天然変性蛋白質 / 亜鉛イオン / センサー蛋白質 |
Research Abstract |
本研究では、黄色ブドウ球菌の細胞表面に存在する蛋白質であるEbpSが亜鉛イオン存在下において会合体を形成することに着目した。一方で、黄色ブドウ球菌の株間におけるEbpS遺伝子の保存性の高さからEbpSが黄色ブドウ球菌の細胞表面において非常に重要な機能を発揮している可能性が高いという報告を受け、細胞表面におけるEbpSの機能と亜鉛イオンとの関連の解析へと研究を発展させた。 EbpS遺伝子を破壊した黄色ブドウ球菌変異株を作製したところ、遺伝子破壊株では菌の増殖速度が顕著に低下した。キレート剤を用いて金属イオンを除去した環境下での解析により、EbpSは亜鉛イオンの取り込みに関連した機能を有していること、さらに最小培地を用いた解析により、EbpSが菌周辺の亜鉛イオン濃度を感知し、亜鉛イオン取り込み関連遺伝子群の適切な発現を調節するセンサー蛋白質として機能している可能性が示唆された。特に、EbpS遺伝子破壊株はヒト血漿中と同程度の亜鉛イオン存在下において増殖速度が低下したことから、EbpSの機能を阻害することにより、ヒトへの感染対策へと貢献することが期待される。 さらに、本研究のin vitroの解析結果より、EbpSは亜鉛イオンの存在下で会合するとともにその立体構造を変化させることが示唆されているため、EbpSは菌体の表面においても同様に亜鉛イオンの存在下において構造を誘起させながら会合体を形成し、それによって細胞内部へと情報を伝達しているという分子機構が示唆された。
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Research Products
(1 results)