2010 Fiscal Year Annual Research Report
中央銀行の独立性・情報透明性と最適金融政策を実行するための制度設計
Project/Area Number |
09J01660
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
盛本 圭一 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 金融政策 / 金融政策委員会 / 情報政策 / 政策アナウンスメント / 委員会のデザイン |
Research Abstract |
平成22年度の研究は主に次の2点に注力して行った。 第一点目は、金融政策委員会に関連する二つの研究(論文"Optimal Structure of Monetary Policy Committees"および論文"Coordination Behavior and Optimal Colmittee Size")を学会・セミナー等で報告し、内容を充実させたことである。"Optimal Structure of Monetary Policy Committees"に関しては、各国の中央銀行の金融政策委員会制度の精査を行い、現実の制度と整合的な最適人員構成を導く理論モデルを構築することに成功した。このことは、近年多くの国で採用されている委員会による金融政策の意思決定制度の在り方について、一定の合理性を認める内容になっており、委員会制度そのもののベネフィットを示すものである。今後の金融政策委員会のメンバー選びの問題に対して、重要なメッセージとなることが期待される。"Coordination Behavior and Optimal Committee Size"に関しては、金融政策委員会などの委員会の最適な人数に関する研究を行った。分析の結果、キャリア形成意識などによって委員間の協調行動が生じるケースでは比較的小さな委員会を作るのが望ましいなど、いくつかの理論的な示唆が得られた。これは近年の委員会内部の情報公開の進展などと相俟って、金融政策委員会を含む具体的な委員会の設計に対して強いインプリケーションを持っていると思われる。 第二点目は、本研究課題と関係の深い政策当局のアナウンスメントの効果についての基礎理論研究に着手したことである(この研究は公式的には未発表であるが、"Infomation Acquisition and Social Value of Public Information"として複数の大学で報告済みである。)。この研究では民間部門の情報取得活動(リサーチ活動)の要素と近年注目される情報公開の関係を分析し、興味深い含意を得た。
|
Research Products
(2 results)