2010 Fiscal Year Annual Research Report
立体多様性を鍵とするシクロプロパン型βターンミメティックの創製とその展開
Project/Area Number |
09J01661
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水野 彰 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シクロプロパン / βターン / Gタンパク質共役型受容体 / メラノコルチン受容体 / ペプチドミメティック / GPCR / オキシトシン受容体 |
Research Abstract |
前年度までの研究において、本特別研究員は独自に考案したシクロプロパン型βターンミメティックに基づき、メラノコルチン受容体(MC4R)リガンドを見出している。その結果、ペプチド主鎖をシクロプロパンによりトランス型に配座制御した化合物群が、シス型と比較して良好なMC4R親和性を有していた。今年度は、トランス型化合物群に更なる改良を加えて構造活性相関の充実を図るとともに、より優れた高活性リガンドの創出を試みた。具体的には、ジアステレオマー間の活性差を大きくすることを目的として、アセトアミド基を不斉点近傍に導入した。MC4R親和性自体が低下する結果となったが、望みとするジアステレオマー間の活性差拡大には成功した。この結果を受けて一方のジアステレオマーを基本骨格とし、適する置換基を探索したところ、アセトアミド基に脂肪鎖(フェニルエチル基)を導入した化合物において10倍もの活性向上が観察された。本結果は近日中に学術雑誌に投稿する予定であり、今後も更なる高活性リガンドをデザイン・合成する予定である。 一方で、本シクロプロパン型βターンミメティックの汎用性を確かめるため、異なる標的を設定しリガンド創製を試みた。新たな標的受容体は、近年自閉症治療薬などの標的として注目を集めているオキシトシン受容体とした。これまでの研究と同様にして化合物群を設計し、まずはシス型化合物群を合成して受容体親和性を評価した。詳細なデータは出ていないが、オキシトシン受容体に結合する結果は得られており、シクロプロパン型βターンミメティックが複数の受容体リガンド創製に適用できることが示唆された。
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