2009 Fiscal Year Annual Research Report
立体多様性を鍵とするシクロプロパン型βターンミメティックの創製とその展開
Project/Area Number |
09J01661
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水野 彰 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シクロプロパン / βターン / Gタンパク質共役型受容体 / メラノコルチン受容体 / ペプチドミメティック / GPCR |
Research Abstract |
申請者が考案したシクロプロパン型βターンミメティックに基づき設計した化合物8種を合成し、それぞれのメラノコルチン受容体サブタイプ(MC3R,MC4R,MC5R)に対する親和性を評価した。その結果、シクロプロパンによりペプチド主鎖をトランス形に制御した化合物群が比較的良好な親和性を示した。即ち、シクロプロパン型βターンミメティックがGタンパク質共役型受容体(GPCR)リガンドの創製に有用であるという結果が得られた。 また、良好な親和性を示した化合物についてMC4Rに対する機能活性を評価したところ、生体内アゴニストであるα-メラノサイト刺激ホルモンの働きを阻害するアンタゴニストであることが分かった。MC4Rアンタゴニストはがんによる悪心を抑制するなどの薬理効果が知られており、臨床応用可能なMC4Rアンタゴニストの創製が強く望まれている。申請者の合成した化合物はペプチド結合をシクロプロパンに置換することで、ペプチド特有の薬物動態(代謝的不安定性、体内分布の悪さ)が改善されているとは考えられるが、本化合物は未だ十分な親和性を有していないと考えられる(Ki=~400nM)。したがって今後は、最も親和性の高かった化合物を母骨格とし、官能基の炭素鎖長の増減、脂溶性側鎖の追加などを行って構造活性相関を充実させ、より親和性の高いMC4Rアンタゴニストの創製を目指す。更に、本シクロプロパン型βターンミメティックの一般性を検証するために、メラノコルチン受容体とは異なるGPCRを標的として、同様の方法論によりリガンド創製を行う予定である。
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Research Products
(1 results)