2011 Fiscal Year Annual Research Report
立体多様性を鍵とするシクロプロパン型βターンミメティックの創製とその展開
Project/Area Number |
09J01661
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水野 彰 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シクロプロパン / ペプチドミメティック / βターン / メラノコルチン受容体 / オキシトシン受容体 |
Research Abstract |
前年度までの研究において、シクロプロパン型βターンミメティックに基づき、メラノコルチン受容体に親和性を有するリガンドを見出し、構造活性相関研究を重ねてその親和性を10倍にまで向上させた。本年度はまず、前年度に行った構造活性相関研究に対する実験科学的な裏付けを得るために、X線結晶構造解析によるリガンドの立体構造の考察に注力した。シクロプロパン型βターンミメティックは8種の立体異性体で構成され、全体として高い三次元多様性を有することを特徴としている。そこで、各立体異性体に関して比較的簡単な化合物を合成し、その立体構造についてX線結晶構造解析により考察した。その結果、シクロプロパン型βターンミメティックは期待通りの三次元多様性を有していることが示唆され、前年度に行った構造活性相関研究の結果とよく合致していた。この結果は、今後シクロプロパン型βターンミメティックを用いた創薬理論を多数の標的タンパク質に拡張していく上で、強固な基盤となるデータであると考えている。 メラノコルチン受容体リガンドの改良研究を続ける一方で、オキシトシン受容体を新たな標的として設定し、そのリガンドの創製研究を行っている。創薬理論は同一であるが、合成する化合物の構造はメラノコルチン受容体リガンドとは大きく異なっているため、新たに合成経路を確立する必要があった。種々検討を行った結果、全22工程で設計したオキシトシン受容体リガンドの合成を達成した。オキシトシンとの競合阻害実験の結果、合成したリガンドは確かにオキシトシン受容体に対して親和性を有し、アンタゴニストとして機能するという結果が得られた。この結果は、シクロプロパン型βターンミメティックが複数の標的タンパク質に対するリガンド創製に有用なものであることを示す重要なデータである。今後は、さらなる標的タンパク質拡張を目指していく。
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Research Products
(3 results)