2009 Fiscal Year Annual Research Report
吃音者には言語-聴覚システムの異常は存在するのか?MRIと脳磁図を用いた研究
Project/Area Number |
09J01685
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊池 良和 Kyushu University, 医学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 吃音 / 脳磁図 / MRI / 聴覚ゲーティング |
Research Abstract |
本研究は未だ原因はもとより、その病態すら明らかになっていない発達性吃音症に対し、A左脳発達不全説の解明、B聴覚ゲーティング異常の解明、C発話前の準備磁場の解明を目的としている。平成21年度までの研究は、健常者15名、吃音者15名を集め、拡散テンソルMRI撮影を行った(A)。そして、世界的に最新式の全頭型306ch脳磁図を使った研究では、健常者18名、吃音者17名集め、聴覚ゲーティングを調べた(B)。聴覚ゲーティングは二連発聴覚刺激後、50msの聴覚野の反応をこ比較することであり、健常者では一発目の刺激の50msの反応に対して、二発目の刺激の50msの反応は大きく抑制されていたが、吃音者ではその抑制が見られなかった。聴覚ゲーティングとは不要な音を無意識のうちに除外する機能なのだが、吃音者ではその機能不全で、臨床上ホワイトノイズを聞かせながら、吃音が改善することに相当する新たな発見をした。また吃音者では左半球の聴覚機能不全を認め、右半球の潜時が早くなっていた。その発見を2009年11月18日、19日、20日に福岡県北九州市で開催された第39回日本臨床神経生理学術大会で発表(演題名:吃音者の聴覚P50抑制の検討:脳磁図を用いた研究)を行い、優秀演題賞をいただきました。吃音者は基礎的な聴覚反応すら左半球の不全と右半球での代償が見られた。これはこれまでの発話時の脳機能を調べた世界的な知見(機能的MRI、PET)をさらに推し進める新たな発見を得られたので、この発見を英語論文にまとめ、英文校正も終わり、一流雑誌(Brain)に論文投稿した。
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