2009 Fiscal Year Annual Research Report
局所体上の四元数的ユニタリー群のNew Formsの研究
Project/Area Number |
09J01700
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北山 秀隆 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジーゲル保型形式 / 次元公式 / 保型形式環 |
Research Abstract |
この研究では、2次実シンプレクティック群のnon-split Q formsに対して定義される離散群についてのSiegel cusp formsのなすベクトル空間の次元公式の研究を行い、新しい結果を得た。この離散群は、階数2の四元数的エルミート空間の極大格子のstabilizerとして定義されるものである。このうち、主種に属する極大格子に対しては、既に結果が知られていたが、今回の結果は、非主種に属する任意の極大格子に対しても適用でき、かつベクトル値の場合にも適用できるという点が新しい。一般に、次元公式は離散群の共役類ごとの寄与の合計として記述されるが、今回の場合、半単純な共役類からの寄与は、局所的計算に帰着させる伊吹山知義氏と橋本喜一朗氏の方法で計算し、非半単純な共役類からの寄与は具体的な共役類分解の計算と若槻聡氏による公式を適用して計算した。この研究の動機は、今回得られたnon-splitの場合の次元公式とsplit Q formに対して定義される離散群についての次元公式とを比較する事によって空間の対応の可能性を研究することであり、それが今後の課題である。これとは別に、今回得られた次元公式を用いて具体的な保型形式を構成するという問題についても結果を得た。具体的には、四元数環の判別式が6の場合のある非主種に属する極大格子から定義される離散群についてのスカラー値Siegel modular formsのなす次数環の構造を具体的に記述した。その全ての生成元のFourier係数を具体的に計算することも可能である。Split Q formに対しての離散群についての保型形式環の構造はいろいろな群について知られていたが、non-splitの場合では、初めての結果であると思われる。
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