2010 Fiscal Year Annual Research Report
局所体上の四元数的ユニタリー群のNew Formsの研究
Project/Area Number |
09J01700
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北山 秀隆 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジーゲル保型形式 |
Research Abstract |
Sp(2;R)の任意のQ-form Gは、不定符号四元数環上の階数2の非退化エルミート形式のユニタリ群として構成され、この四元数環がQ上の2次行列環と同型のときGはsplitなQ-form Sp(2;Q)であり、そうでないときGはnon-splitなQ-formとなる。申請者は、Sp(2;R)とそのcompact twistとの間のEichler-Jacquet-Langlands対応の研究の類似として、split Q-formとnon-spIit Q-formのそれぞれに付随するSiegel保型形式の空間の間で起こり得る対応を調べることに興味がある。これを詳しく研究する事を目指して、これまでに次の結果を得た。 1.まずは、空間の次元の比較により存在し得る対応を見つけることを目標とした。その為に明示的次元公式の研究を行った。複数の異なる離散群に対する明示的次元公式を求めてそれらを比較し、一致する組み合わせを調べる為である。Selberg跡公式から明示的次元公式を導けるという事実自体はよく知られているが、それを実行して明示公式まで書ききる事は容易ではなく、知られている例はわずかである。申請者は、任意の判別式を持つ不定符号四元数環に関するnon-split Q-formの場合に、任意の極大格子に対応する離散群についてSelberg跡公式による計算を行い、明示的次元公式を得ることができた。 2.次に、split Q-formの側の離散群の明示的次元公式を得なければならない。どの離散群が対応の候補となり得るかについて明確な根拠は無かったが、square-freeレベルのパラモジュラーの明示的次元公式を求める研究をやってみたところ、楕円的共役類からの寄与について、non-split Q-formの側の離散群との間で一致する組み合わせが存在する事を発見できた。現在、これに続けて楕円的以外の共役類からの寄与の計算を進めており、寄与の一致を確認している最中である。
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