2010 Fiscal Year Annual Research Report
構造バイオインフォマティクスによる抗体抗原認識機構の解明と新規抗体設計手法の開発
Project/Area Number |
09J01713
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒田 大祐 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 抗体設計 / 生命情報科学 / 分子シミュレーション / 抗体工学 / データベース |
Research Abstract |
本年度は、高精度の抗体モデリング手法開発を目指し、以下の2つの研究を実施した。 (1)抗体の抗原認識部は限られた少数の構造(カノニカル構造)に分類できることが知られているが、「なぜ」それらの構造が限られているのかは明らかにされていない。そこで、抗原認識部は他の構造を取りうるのか、またその構造決定要因は何かを分子シミュレーションの手法を用い、明らかにした。特に、抗原認識部の中央に位置するCDR-L3に着目し、計算機内でそのアミノ酸配列に変異を与えることにより、どのような構造変化が起こるのかを解析した。抗体のカノニカル構造は分子力学法に基づくエネルギー最小構造に相当し、周囲の環境によって規定された、本質的に安定な構造であることを示した。 (2)構造ゲノムプロジェクトの進展により、PDB中に登録されている蛋白質の構造情報は爆発的に増加している。そこで、PDB中のフラグメント用いた、抗体に特化したループモデリング手法の開発を行った。これまでの申請者の研究で見いだされた新たな経験的ルールを利用して、PDB中の大量のループ候補の構造を絞り込み、「抗体らしい」ループ座標のみを抽出するシステムを構築した。また、抽出された複数の構造をOPLS力場とGBSA溶媒モデルを用いて構造最適化し、各ループ構造のエネルギーを個別に評価することで、初期構造に依存せずにエネルギー最小構造を選び出すことができる手法を開発した。
|
Research Products
(1 results)