2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01726
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 昭宏 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 無衝突プラズマ / 粒子加速 / 宇宙線 / 超新星 / 古典新星 / 非熱放射 / 衝撃波 / 元素合成 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に行っていたプラズマと放射との相互作用に関する研究をさらに押し進めた。Swift衛星によって発見されたX線フラッシュ080109は、SN2008Dという重力崩壊型超新星の出現に付随していた。このことから、XRFO80109は、コアの重力崩壊によって発生した衝撃波が星の表面に到達する際に起こる超新星shock breakoutという現象を詳しく観測した例と認識されている。過去の理論的な研究から、超新星shock breakoutのスペクトルは黒体放射でよく近似できるという指摘がなされていた。しかしながら、X線放射のスペクトル解析から、スペクトルは羃的な分布でよく表されることが明らかになった。Wang et al.(2007)は、bulk comptonizationという、衝撃波と放射の相互作用によって羃的スペクトルが形成される可能性を指摘した。我々は、より現実的なモデルでこの機構が起こるかを調べるために、親星の外層を伝搬する衝撃波の振る舞いを流体方程式の自己相似解によって記述し、モンテカルロ法によって放射輸送を解き、やはり羃的なX線スペクトルが形成されることを示した。この結果から、bulk comptonizationが効率的に働くためには、衝撃波速度が光速の数10%以上となることが必要であることが分かった。さらに、超新星shock breakoutの光度曲線がどのように決定されるかを理解するために、コアの重力崩壊によって星の内部で発生した衝撃波がどのように表面に到達するかを流体計算によって調べた。その結果、光度曲線が重力崩壊によって解放されるエネルギーの非球対称性を強く反映する可能性があることが分かった。
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Research Products
(11 results)