Research Abstract |
プレスキャスティング技術は,鋳物産業における周知の従来鋳鉄鋳造法に比べ,超高歩留まり・エネルギーコスト削減などの多くの利点をもつ期待がある.本研究では,この手法の特徴を利用し,飛躍的な生産性向上・高付加価値を生む,多種・複雑・薄肉形状の高品質鋳物成形手法の確立を目指している. 砂鋳型内における溶融金属のプレス時流動挙動について,圧力計測と温度解析を実施し,品質向上のためのプレス速度制御システムに用いる制御モデル構築を行った,透明アクリル鋳型を用いた水プレス実験機を製作し,上鋳型の上部に設置したロードセルから得られる反力データによって,液体圧力推定が可能であることを確認した.さらに,ベルヌーイ式から導出した数理モデルは,液体接触型の圧力センサ(高温の溶融金属では使用困難)での計測データとよく一致し,プレス速度の制御設計に有効であることが確認された。また,CFDモデルを用いた温度挙動解析により,鋳型への熱伝達により温度が低下することで流体粘度が増加し,制御対象の圧力値が増大することが確認された.品質評価の対象として溶解金属・砂粒子間の差込み現象に着目し,この界面現象に関する物理モデルに基づいた,砂鋳型と溶解金属を用いた実験的解析から差込み現象の発生メカニズム,および発生境界条件を明らかにしている.プレス中の液体流動について,計算流体力学(CFD)モデルを援用した溶湯プレス解析,および,水実験による直接観察での解析・評価を行い,その流動特性を確認している.これらの解析結果をもとに,過去に提案したプレス中の簡易数理圧力モデリングの評価を行っている.提案アルゴリズムによる圧力制御システムについて,CFDモデル解析および溶湯プレス実験における有用性を確認している.ここで,溶湯実験においては,実用製品形状の成形での高速・高品質化を実現することが確認された.
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