2009 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物DNA複製の分子メカニズム-DNA二重鎖開裂と合成反応の連携機構の解明-
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09J01755
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
半田 哲也 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA複製 / 複製フォーク / DNAポリメラーゼ / 分裂酵母 |
Research Abstract |
遺伝情報を安定に次世代に伝えるために染色体DNAの複製は必須の反応である。複製開始点で形成された複製装置が複製フォークとして進行するためには、DNA二重鎖の開裂とリーディング・ラギング両鎖の合成反応が協調的に働くことが必要である。DNA二重鎖開裂はCMG(Cdc45/MCM/GINS)複合体が中心的な役割を担っており、DNA合成は3種類のDNAポリメラーゼPolα,Polδ,Polεが行うと考えられている。リーディング鎖合成を担うとされるPolεは、酵母において触媒サブユニットN末端ポリメラーゼドメインは欠失させることができ生存に必須ではない。それに対してC末端領域は必須である。先行研究より、このPolεの非触媒的な必須機能として複製開始反応への関与が示唆されている。私はPolεの必須機能を明らかにするために、条件特異的にPolεタンパクを欠失させる系、およびPolεの温度感受性変異株を用いて解析を行ってきた。タンパクを欠失させた解析から、PolεはMCM,Sld3の開始点結合以降にCDKに依存して結合するCut5,Drc1,GINS,Cdc45の結合に必要であることが分かった。一方で、温度感受性変異株を用いた解析から、Polεはレプリソームの形成以降、複製フォークの進行に必須であることが分かった。この変異株ではPolεサブユニットが開始点に安定に結合できない状態で、CMG複合体構成因子は開始点に結合しており、さらに一本鎖DNA結合タンパクRPAの結合が検出された。このことからCMG複合体の形成・活性化は起こっていると考えられる。しかし、Cdc45の局在は開始点近傍に限定されており、Polεがないと複製フォークは開始点から数kbも進行しなかった。このことはPolεがDNA二重鎖開裂に続く継続的なDNA合成を伴った複製フォークの進行に必須であることを示唆している。
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Research Products
(3 results)