2009 Fiscal Year Annual Research Report
文化現象研究における情報科学的客観性-遺跡の時空間構造分析手法の開発と適用-
Project/Area Number |
09J01804
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
藤本 悠 Doshisha University, 大学院・文化情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地理情報システム(GIS) / 文化情報学 / 理念型モデル化分析法(ITMA) / 地理系統樹 / 楕円フーリエ記述子 / 時間位相 / オブジェクト指向 / マックス・ウェーバー |
Research Abstract |
今年度は、研究基盤となるデータベース構築、分析・情報構築システムのためのコアパッケージ、および文化現象研究のための新しい分析手法の検討を行った。データベース構築では、古市・百舌鳥古墳群のデータベース、滋賀県における古代瓦データベース、および岐阜県における縄文遺跡データベースを構築した。これらは、ISO19100シリーズ(地理情報標準)に準じて設計されている。分析・情報構築パッケージについては同標準に準拠したクラスライブラリの開発を進め、同ライブラリを用いたフィールド調査システム「Survey Data Archivist for Client」の開発に成功した。分析手法の開発については、分子進化遺伝学における系統樹作成手法とGISを組み合わせた形質構造分析、楕円フーリエ記述子(EFD : Elliptic Fourier Descriptor)を用いた空間形状分析、グラフ理論をベースにした時間位相分析、および標準化圧縮距離(NCD : Normalized compression Distance)を用いた形質属性分析の提案を行い、マックス・ウェーバーの理念型分析にヒントを得た文化情報学的方法論「理念型モデル化分析法(ITMA : Ideal Types Modeling and Analysis)」として体系化を試みた。この方法論は、今後、情報技術と駆使した文化現象研究を実現するための枠組みとして重要な役割を果たすと考えている。なお、これらの成果物については、他の研究者や一般の人々の両方が利用できるように考慮し、学会等を通して公表した成果から順次Web上で公開している。本研究は、多角的な視点から行われており、本研究の成果を通しては、地理情報標準という国際標準の普及、オブジェクト指向GISの分析ツールとしての可能性の拡大、文理融合型研究の促進、研究成果の情報発信および社会教育へ貢献を期待できる。
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Research Products
(10 results)