2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01839
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 智子 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 初期カンプリア紀 / 炭素同位体比 / 化学層序 / 海洋炭素循環 |
Research Abstract |
後期原生代エディアカラ紀から顕生代カンブリア紀(6.3~5.0億年前)は、その出現から40億年間バクテリアレベルまでの進化であった生物が、極めて短期間に後生動物へと進化した変革の時代であり、生命進化の非常に特異な転換期の一つである。そのため、この時代の地球環境を解読し、後生動物の出現条件を読み解くことは地球生命環境史における最重要課題の一つといえる。 2010年度において、申請者は初期カンブリア紀の爆発的生物進化と続く大量絶滅が起きた際の海洋環境を解読するべく、南中国三峡地域において得られた掘削試料を用い、顕微鏡観察による詳細な記載、それら試料の各種同位体比分析を積極的に行った。その結果、カンブリア紀の爆発の最盛期に+4‰の炭素同位体比正変動を観察し、直後の大量絶滅期に-12‰にもおよぶ顕著な炭素同位体比負変動を観察した。申請者はこのような非常に低い同位体比を持つ炭素は有機物の酸化分解によりもたらされたと考えられるため、海洋酸素の減少により古杯類を初めとする動物が絶滅したことを提唱した。 また、申請者は炭酸塩結晶中の^<13>C^<18>O^<16>O_2^<2->の存在比(Δ47)を見積もり、古海水温を推定する手法について取組んだ。その結果、石灰岩、苦灰岩、黒色頁岩中の炭酸塩のΔ47値がそれぞれ有意に異なる範囲の値を持つことが示された。これは炭酸塩が結晶化した際の間隙水の温度の違いを反映すると考えられ、岩相ごとに炭酸塩結晶を選別し、測定したΔ47値から古海水温を推定する道筋が示された。
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Research Products
(3 results)