Research Abstract |
本研究では,菌類の遺伝的多様性の影響がどのような影響を菌食性昆虫群集に及ぼすかを明らかにすることを大目的としている。本年度では,1.方法の検討,2.菌食性昆虫採集と標本整理,3.成果の発表を行った.まず,サラワク州東部および西部において森林保護区域およびその周辺に残された孤立林からG.australeの採集を行い,遺伝的多様性を調べる方法の検討を行った。その結果,特定地域内であっても同種内での遺伝的変異を検出することができ,今回の方法で十分であることが確認された。このことから,22年度以降に行う調査方法を確定することができた。 次に上記の木材腐朽菌子実体の採集にあたり,菌食性昆虫も同時に採集した.これまでに採集された菌食性昆虫はすべて標本にすることができ,目標を達成することができた。さらに,すでに採集されてきた菌食性昆虫については種同定を進めており,そこで得られた結果をリファレンスとして利用できる体制を整えつつある。そのため,22年度以降のデータの取りまとめが非常に容易になることが期待されている。最後に,菌類の遺伝的多様性に関して,22年度4月の日本森林学会で発表し,関係者から意見を得ることができた。大きな変更を要するような意見ではなく,本研究の方向性の正しさが確認されたため,来年度以降の調査に対してよい準備ができている。 以上のように,22年度以降の準備に関しては十分に行えており,また,学会発表などの成果もあげている。
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