2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス認識とその抑制の最前線で働く未知の自然免疫システムの全貌を解く
Project/Area Number |
09J01848
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 萌子 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自然免疫 / ウイルス / 感染症 |
Research Abstract |
自然免疫系ではRNAヘリケース分子のRIG-I like receptor(RLR)が細胞質に侵入したウイルスが産生したヒトの細胞には通常存在しない構造を持った核酸を認識し、I型インターフェロンをはじめとするシグナルを誘導することが知られており、シグナル経路に必要な分子の同定やRIG-Iの分子レベルでの活性化メカニズム等は詳細な研究が行われている。しかし、RLRがウイルス由来核酸を認識する際の詳細なメカニズム、とくに核酸認識に関わる未知の分子群についてはまだ明らかになっていない。そこで、私の所属する研究室ではウイルス感染時に発現誘導される新規のRNAヘリケース分子DDX60が初期のウイルス認識に関与していると考え、解析を行ってきた。様々なウイルス感染時のDDX60のI型インターフェロン誘導に対する影響をノックダウン、過剰発現系を用いて解析し、DDX60がウイルス感染時にRLRと相互作用し、インターフェロン誘導に重要であり、そしてDDX60はRIG-Iのアダプター分子IPS-1より上流で機能していることを明らかにした。また、これまでRNA分解複合体エキソソームとDDX60が結合することを示してきたがウイルス感染時にDDX60/エキソソーム結合が見られなくなることを明らかにした。このことから、ウイルスが感染する以前の定常状態でDDX60がエキソソームによるRNA分解系とリンクしている可能性が示唆された。また、DDX60ノックアウトマウスが完成し、今後はウイルス感染においてDDX60のin vivoでの重要性について検討していくことが望まれる。
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Research Products
(3 results)