2009 Fiscal Year Annual Research Report
北米における日系移民文学の変遷:19世紀末から1940年代にかけて
Project/Area Number |
09J01857
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 真理子 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日系アメリカ人 / 日系アメリカ文学 / 移民史 / 近現代史 / アメリカ |
Research Abstract |
本研究の目的は、19世紀末から1940年代にかけての日系アメリカ人の文芸活動の変遷を日本語文学・英語文学の両方を視野に入れ、明らかにすることである。21年度の研究計画は、19世紀末から1930年代までを扱うものであった。予定していた研究はほぼ遂行することができた。まず、19世紀末から1920年代においては、次の通りである。1.初期移民地における日本語新聞の文芸欄のあり方についての考察。2.移民地の文芸活動と日本文学との関連についての考察。3.翁久允をはじめとする初期移民地において活躍した文芸人の活動の詳細を明らかにする。これらの成果をアメリカ文学会関西支部の6月例会にて発表し、小論にまとめた。次に1930年代においては、以下の通りである。1.詩人加川文一とイヴォール・ウィンタースとの交友関係、詩集Hidden Flameの出版背景を明らかにするための資料調査(スタンフォード大学にて)。2.トシオ・モリとウィリアム・サロイヤンの交友関係、1930年代に出版された文芸雑誌について明らかにするための資料調査(カリフォルニア大学バークレー校、ロサンゼルス校にて)3.1930年代の二世の文芸雑誌Current Lifeの入手とその分析。これらの成果をアジア系アメリカ文学研究会1月例会にて発表した。また、トシオ・モリについては、小論にまとめ『社会システム研究』に投稿した。他、1940年代について、1.強制収容所内で発行された二世の英語文学雑誌Trek, All Aboardの入手と分析、2.帰米二世を中心に収容所内で発行された日本語文学雑誌『鉄柵』の分析。これらの成果をマイグレーション研究会12月例会で発表した。全体的に21年度の研究では、これまで扱われることが極めて少なかった資料をアメリカの大学などで収集し、これまで不明瞭であった文学活動の内容をできる限り具体的に示して、文芸活動の変遷にみられる個々の文芸人たちの葛藤なども明らかにすることができた。
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Research Products
(5 results)