2009 Fiscal Year Annual Research Report
環状エーテル構造を含む生物活性海産天然物の全合成研究
Project/Area Number |
09J01886
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片桐 康 Hokkaido University, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天然物合成 / 海産天然物 / ポリエーテル / 全合成 / プロロセンチン |
Research Abstract |
環状エーテル構造を含む海産天然物は抗癌活性など有益な生物活性を示すものが多く、医薬のリード候補として期待される。一方、一般にこれらは希少であり立体構造も未解明なものが多く、更なる生物活性解明が停滞している。そこで、この物質供給と立体化学解明の課題を合成化学的手法で解決する目的で研究に着手した。今年度の本研究課題では、殺癌細胞活性を持つプロロセンチン(渦鞭毛藻由来)の絶対配置解明と全合成的供給を具体目的とした。 プロロセンチンは昨年度までに当初の報告構造を全合成したが、その時B環部分の構造が異なっていることを明らかにした。そのため、この改訂B環部構造の合成法の開拓が課題になった。提出構造に用いた合成法が通用しないため、新たな手法を開発し、アルドール反応によるカップリングと、エポキシアルコールの6-エキソ環化を鍵反応として、B環部分を合成することに成功した。このB環部とこれまでに確立しているCD環スピロアセタール部の合成法を用いて、プロロセンチンの最初の全合成を達成した。このものは天然物とのNMRデータが一致したため、全体の相対配置を決定することが出来た。また、旋光度データが逆であったため、合成品は天然物の鏡像異性体であったものの、天然物の絶対配置を決定した。絶対配置が判明し、全合成的供給経路が確立できたので、今後、天然型の立体化学を持つプロロセンチンを合成し、合成品・中間体を用いて生物活性評価を行い、活性発現の構造要因を調査したい。
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