2009 Fiscal Year Annual Research Report
アーク加熱風洞を用いた高性能アブレータ開発に関する基礎研究
Project/Area Number |
09J01898
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 裕介 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アブレータ / アーク加熱風洞 / 熱化学的非平衡プラズマ流 / 輻射熱輸送 / 乱流熱輸送 / 数値流体力学 / アブレータ熱応答解析 |
Research Abstract |
惑星再突入時における厳しい空力加熱から宇宙機を守るために熱防護材が必要であるが,その有用な候補の一つとしてアブレータが挙げられる.これは加熱に対して表面物質を溶融・昇華することによって内部の構造を熱から保護し,高い耐熱性と信頼性を有することが特徴である.一方で問題点として,加熱時に表面から噴出する熱分解ガスによる乱流遷移や表面放出粒子の挙動によっては,加熱率や表面後退量が増大することが挙げられる.本研究の目的は,再突入時の高温環境を模擬できるアーク加熱風洞を用いてアブレータ内部現象の定量的な調査を進めるとともに,軽量で耐熱性に優れるアブレータ材料とその形状モデルの指針を見出すことである.本年度において特に重点を置いて実施した研究内容は次の二つである:1)数値解析コードを開発してアーク加熱風洞の気流諸量(温度や速度,密度等)分布を明らかにすること.2)アブレータ熱応答解析コードを用いて内部熱挙動を明らかにすること. 本年度では九州大学20kW及びJAXA750kWアーク加熱風洞に対して風洞膨張部における複雑なプラズマ流の熱化学的挙動を明らかにした.さらに20kWアーク加熱風洞の加熱部における輻射熱輸送の役割を定量的に明らかにする成果を上げた.なお現在,大型アーク加熱風洞の乱流熱輸送の挙動を調査する解析を進め,一定の良好な結果が得られている.またアブレータが20kWアーク加熱気流にさらされる条件下において,材料内部の熱応答解析モデルおよび周囲の高温気体との連成解析モデルの構築を行った.解析結果と実験結果は比較的良好な一致を示し,信頼できるアブレータ熱応答解析コードが開発された.したがって研究実施状況としては,信頼できる風洞気流解析コード及びアブレータ熱応答解析コードの開発を達成したと言える.これは高温気体中におかれたアブレータの熱的挙動を定量的に調査する上で非常に重要である.
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Research Products
(6 results)