2010 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ペプチド系天然物ポリセオナミドB構造類縁体の合成と機能解析
Project/Area Number |
09J01901
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 直樹 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリセオナミドB / 非リボソーム起源ペプチド / イオンチャネル / リポソーム / 単一チャネル電流測定 / N末端構造 |
Research Abstract |
【目的】海綿由来の天然物ポリセオナミドB(1)は、48アミノ酸残基から構成される最大の非リボソーム起源ペプチドであり、イオンチャネルとして機能することで強力な細胞毒性を発現する。本研究では、1の抗癌剤としての応用を最終目的としている。現在までに当研究室において1の効率的全合成法が確立され、量的供給が可能となった。本年度は、1の全合成法を応用して誘導体群および部分構造群を合成し、これらの生物活性・チャネル機能を評価した。 【結果】1.1の1/4,1/2,3/4に相当する部分構造群を合成し、細胞毒性(P388)を評価したところ、部分構造群は1に比べて10,000倍以上弱い毒性を示した。この結果から、1の強力な細胞毒性発現には全体構造が必要であることが明らかになった。また、リボソーム膜を用いた膜崩壊実験・イオン輸送実験および単一チャネル電流測定実験から、1の1/4,1/2に相当する部分構造(33-48残基,26-48残基)は膜崩壊活性を示したのに対し、3/4の部分構造(12-48残基)は1と類似のチャネル活性を有することが判明した。本研究により、ペプチドの長さと機能には相関があることを初めて明らかにした。2.1のN末端構造の生物活性への影響を調べるため、1のN末端構造(Ncap)を除去した誘導体(2)、Ncapをカチオン性官能基であるN-(3-カルボキシプロピル)トリメチルアンモニウムに置換した誘導体(3)および炭素数の異なるアシル基に置換した誘導体{アセチル(4),オクタノイル(5),パルミトイル(6)}をそれぞれ合成した。これら誘導体群の細胞毒性試験では、N末端の脂溶性が低い2,3,4において顕著な活性低下が見られた。また、2~6のチャネル機能を評価したところ、N末端にカチオンを有する3はほとんどチャネル機能を示さないことがわかった。以上の結果は、N末端構造の1の活性制御に対する重要性を示した。
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Research Products
(2 results)