Research Abstract |
本研究では,P2Pネットワーク上でのデータ共有サービスにおける,データの可用性向上のための複製配置手法および更新データの伝播手法の研究を行った. 複製配置手法では,ネットワーク上の各端末(ピア)は,自身が受信したクエリの統計をとり,各データへのアクセス頻度を推測する.その後,推測したアクセス頻度に応じてそれぞれのデータの複製を配置する確率を決定する.この手法により,ネットワーク上の各データの複製の数を,理想的な複製数のモデルである平方根配置モデルに近づけることができた.また,シミュレーション実験による性能評価により,提案手法では,検索時に発行されるメッセージ数を削減できることを確認した. 続いて,各ピアがどの程度の大きさの更新が発生した場合に更新データを受信するかという条件を指定している環境において,更新データの伝播手法を提案した.この手法では,等しいデータ要求条件を設定しているピアごとにそれぞれ一つの木構造を構築する社さらに,データ要求条件が近いピアからなる木構造同士をグループ化し,それぞれの木構造の根ノードのみで構築される,もう一つ木構造を構築する,この新たな木構造では,データ要求条件が近いピアほどより上位に位置する順序木の性質を持たせる.データが更新された場合には,これらの木構造に沿って,更新データを必要としているピアにまで更新データを伝播させる.また,シミュレーション実験による性能評価により,提案手法では,更新伝播時のトラヒックを大幅に削減しつつ,更新伝播時の負荷を分散できていることを確認した. 本研究により,ユーザにとってデータの可用性および柔軟性の高い,質の高いデータ共有サービスを提供することができます.
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