2011 Fiscal Year Annual Research Report
複眼を翅に改変する遺伝子winged eyeによるエピジェネティック制御
Project/Area Number |
09J01937
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中島 瑠美 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エピジェネティクス / PcG, trxG / 器官改変 / 再生医療 |
Research Abstract |
これまでに、ショウジョウバエにおいて器官改変を引き起こす遺伝子winged eye(wge)は、転写抑制状態又は転写活性化状態を維持する蛋白質PcG/trxGとの関わりが示されている。PcG/trxG response element(PRE/TRE)を用いた研究により、wgeはFab-7 elementに対してtrxG様機能を示し転写活性化状態の維持に関わることが明らかとなった。さらに、wgeの過剰発現によって異所的な遺伝子発現が誘導され、複眼から翅への改変に重要と思われるvestigial(vg)遺伝子のPRE/TREについても同様の実験を行った。その結果、Fab-7 elementの場合とは異なり、wgeはvg PRE/TREに対しPcG様機能つまり転写抑制状態の維持に関わることが示された。これらの結果はwgeが各々のPRE/TREや状況に依存して異なる機能を示すことを示唆している。そこで、wgeの標的遺伝子・遺伝子座の同定を目的とし、クロマチン免疫沈降と次世代型シークエンサーによる解析を組み合わせたChip-SeqによりWGE蛋白質の標的遺伝子座を網羅的に解析しようと考えた。WGE蛋白質を発現する培養細胞を作製し、その際、全長のWGE蛋白質のN末端側にFLAGとSBPをつけたものを作製した。この細胞を用いてクロマチン免疫沈降の条件検討を行った。WGE蛋白質はゲノム上のどこに結合しているのかが全く分からないため、クロマチン免疫沈降後の微量DNAの濃度をDNAに特異的に結合する蛍光色素を利用して高感度で測定することにより、免疫沈降がうまくいっているのかを調べることにした。その結果、抗WGEポリクローナル抗体を用いた場合のみ、発現誘導依存的に共沈するDNA量が増加することが分かった。今後、実際にChip-Seqを行い、WGE蛋白質の標的遺伝子座を同定したい。
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Research Products
(3 results)